常光寺・富沢磨崖仏群
JYOUKOUJI
常光寺・富沢磨崖仏群
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円龍寺とのご縁がある、柴田郡三十三観音巡りの一つ。

「富沢磨崖仏群」は、宮城県槻木駅より車で10分ほど、富沢岩崎に位置し、高さ2.4mの阿弥陀如来像を中心として、周辺の凝灰岩に刻まれた石仏・磨崖板碑(梵字を刻んだ供養碑)の一群である。

この阿弥陀如来像は、銘文から鎌倉時代末期の嘉元4(1306)に時宗の恵一坊なる尼僧および、その弟藤五郎が亡き父の供養のため造ったものと考えられ、鎌倉期の大型磨崖仏としては東北地方有数である。こうした貴重性から昭和46年(1971)に宮城県指定史跡となった。現在も、地域の檀那寺である曹洞宗常光寺 (登米市曹洞宗東陽寺の末寺) の大仏として地域に親しまれ、毎年4月には地域の大仏祭が開かれるなど、長年にわたり大切に扱われてきた。

阿弥陀如来像は、史跡の指定以前より、覆屋によって囲われており、これによって風雨への暴露を防ぎ、保存状態よく継承されてきたが、令和元年(2019)台風19号の被災によって屋根部分を中心に大きく破損し磨崖仏に土砂を含む雨水が直接流入する状態となった。
今回、宮城県・柴田町・公益財団法人東日本鉄道文化財団の御支援により、既存の覆屋構造を利用して修繕いただいた。

これからも貴重な文化資源として後世に磨崖仏の姿を地域と共に継承していく。

阿弥陀如来像の御堂は開帳されていますので、ご自由にご参拝ください。

このほかに、永仁2年(1294)の銘ある虚空蔵菩薩4像、六地蔵や子どもの夜泣きに霊験ある「眠り観音」として親しまれてきた如意輪観音像などが残されている。いずれにしても、鎌倉期東北地方の仏教信仰をよく示す貴重な史跡である。